1.ハラスメント防止に対する基本姿勢
本校は、「生命への畏敬と人間尊重を基盤に、専門職業人としての高い倫理観と変化に対応できる柔軟な思考を持ち、社会の幅広い領域で看護が実践できる、自律した人材を育成する。」ことを教育理念に掲げています。この教育理念に基づき、学生の「看護師になりたい」という意思を最大限に尊重し、学生一人ひとりの人間的成長の促進を支援しています。
ハラスメントは、人間の尊厳を傷つけ人権を侵害し、相手への敬意と思いやりを欠いた行為です。本校では、すべての学生と教職員(非常勤講師含む)の人権が尊重され、安全で快適な環境のもと学習、教育及び就労ができる環境を構築し、その維持に努めます。また、ハラスメントに対する意識を啓発し、ハラスメントの防止に務め、ハラスメントが生じた場合には、速やかにかつ適切に対応します。
2.対象について
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- 本校のすべての学生、教職員(非常勤講師含む)。
- 本校の授業(学内・学外問わず)、特別活動、自治会活動すべての場・時間。
3.ハラスメントの種類
(1)パワー・ハラスメント
主に地位や権力などで優位な立場にいる人が行うものであり、教育上の適正な範囲を超え、精神的・身体的に苦痛を与えて学修環境を害する行為を指す。
(2)セクシャル・ハラスメント
修学中に行われる性的な言動により、学生の学修条件が悪くなったり、学修環境が悪化すること。
(3)アカデミック・ハラスメント
教授者-学生間において、教授者が地位や人間関係などの優位性を利用し、学生に対して精神的や肉体的な苦痛を与える行為を指す。
(4)モラル・ハラスメント
学生の人格や尊厳を傷つけて、精神的苦痛を与えること。
(5)その他
デートDVなどもハラスメントに該当する。
ハラスメントは人間関係における優越性に拠って発生しやすいため、看護学校では臨地実習中に指導者や患者から受けるハラスメントの報告も少なからず存在します。「自分が悪かったのではないか…」「自分さえ我慢すればいいこと…」とは絶対に思わないでください。「これはハラスメントではないか?」と思ったら、一人で悩まず教員に話をしてください。一緒に解決策を考えましょう。
4.ハラスメントへの対応
(1)ハラスメントを受けたとき・「これはハラスメントではないか…?」と感じたとき
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- 一人で悩んだり、我慢したりしているだけでは解決しません。また、無視や適当に受け流すなど「その場しのぎ」の行動も望ましくありません。どの教員でもいいですので相談してみましょう。
- ハラスメントに対しては、不快だと思う気持ちを毅然とした態度ではっきりと伝えましょう。相手を傷つけないようにと配慮した婉曲な言い方やあいまいな態度は、不快だと思う気持ちが相手に伝わらないことがあります。不快だという気持ちをひとりで伝えることが難しければ、信頼できる人の力を借りることも考えてみましょう。
- ハラスメントが発生した日時・場所・相手・ハラスメントの内容などについて、できるだけ詳しく記録しておきましょう。メールやSNSでのやり取り、送られてきた写真・動画なども証拠になりますので、削除せず保存しておきましょう。
(2)ハラスメントと思われる場面を見かけたとき
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- ハラスメントと思われる場面を見かけたときは、当事者間の問題と片づけるのではなく、可能であれば行為者に注意を促しましょう。見て見ぬふりはハラスメントに加担していることにもなりかねません。一人ひとりの意識と行動がハラスメント防止のための大切な条件であることを認識しましょう。
- ハラスメントを受けた人の話を聴き、「ハラスメントを受けたのは、あなたのせいではない」ことを伝え、ハラスメントを受けた人が、どうしたいのかを尋ねましょう。自分が証言者になることもできると伝え、信頼できる人に話すように勧めてみましょう。その際、必要であれば同行できることを話してみましょう。
(3)ハラスメントの相談窓口
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- ハラスメントの被害を受けたときには、一人で悩んだり、我慢したりせず、どの教職員でもいいですので相談しましょう。本校では全教職員がハラスメントの相談に応じます。相談を受けた教職員は、相談内容を真摯に聴いて事実確認に務めます。
- 相談を受けた教職員は、副校長に報告をします。副校長は教務主任に教務会議あるいは臨時教務会議(場合によっては教職員会議)の招集を指示します。この際、会議で議題にすること、他の教職員と情報共有することについて、相談者から承諾を得ます。
- ハラスメントにかかわる事実を話すことは、たいへんな勇気と決断がいることと理解していますので、相談者を責めるようなことはありません。相談に際してはプライバシーや名誉・人権を十分に尊重して行います。
- ハラスメントをおこしたと疑われて悩んでいる人や、ハラスメントを行ったのではないかと悩んでいる人も、その悩みを一人で抱え込まずに相談してみてください。
5.ハラスメントの解決に向けて
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- ハラスメントにかかわる相談を受けたら、相談者(ハラスメントを受けた者)と相手側(ハラスメントを行ったとされる者)および関係する者のプライバシーを尊重し解決に向けて対応します。相談者の承諾を得ずに相談した内容が関係者以外に漏れることはありません。
- 相談者の意向にもとづき、相手側(ハラスメントを行ったとされる者)及び相手側の管理監督者等に対して、ハラスメントにかかわる相談があったこと、内容について通知し、相手側からも話を聴き事実関係の確認を行います。ハラスメントが存在することが認められたら、相談者と相手側双方の主張を客観的かつ公平な立場で確認したうえで、必要な対応を遅滞なく行います。
6.ハラスメントを発生させないために
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- 相手の人権と価値観を尊重し、思いやる気持ちを持ちましょう。
- こちらは悪意がなくとも、相手から不快と受け取られるとハラスメントになる可能性があります。日頃から、相手に不快な思いをさせていないかを考え、相手の立場に立った言動を心がけましょう。
- 相手が不快な思いをしていることが分かった場合には、誠意をもって謝罪し、同じ言動を繰り返さないようにしましょう。
- 「拒否」の意思表示がないからといって、それが合意や承知を意味することとは限りません。相手の意見や意思を十分尊重しながら人間関係を築いていきましょう。
- ハラスメントは、いつでも誰でも、被害者にも行為者にもなり得ます。普段から人権に対する意識を高く持ち、ハラスメント防止のために一人ひとりが自分事として取り組んでいきましょう。
7.その他
(1)不利益な取り扱いの防止
ハラスメントにかかわる相談者や証言者が、報復、脅迫、侮辱、無視その他の不利益な取り扱いを受けないように配慮しなくてはなりません。これら不利益な取り扱いが行われた場合には厳格な対処がなされます。
(2)虚偽の申し立て等の防止
ハラスメントの相談や苦情の申し立て、事実確認のための事情聴取の際に、故意に虚偽の申し立てや証言を行った場合は、処分の対象となることがあります。