1.シラバス作成の方針

 本校では、シラバスを作成するにあたり学生の教育に携わるものすべてが共有すべき基本方針を作成しています。このガイドラインの適用範囲は専任教員・非常勤講師です。ガイドラインにそってシラバスを作成することにより、教育目的・目標の達成にむけた、体系的で一貫性あるカリキュラムの運営ができるものと考えます。

2.シラバスの考え方

 シラバスは学生と教師(専任教員・非常勤講師)との約束であり、教師は授業に責任を持ちます。
 シラバスは学生が自主的に学習を進めることができるよう、授業の概要や、目標、授業計画、評価基準・方法等について事前に学生に周知するものです。すなわち、学生にとってシラバスは、この授業で自分は何を学ぶのか、何ができるようになるのか-を明らかにするものです。学生はシラバスから得られる情報に基づき、単位修得のためにはどのくらいの事前・事後学修が必要かを把握することができるため、計画的かつ主体的に学習を行うことができます。これは学生が「自分自身が学習の主体者である」ことを認識することであり、本校の教育の基本概念の1つである「自己教育力」を育むことにつながります。
 また、教師にとっては授業設計の土台となるものです。シラバスに基づき授業の全体像を明確にすることで、学習目標の到達に学生を導くための方策を考えることができます。そして、教員相互で授業内容の調整を行うことで、重複や見落としを無くし教育内容の質の保証に役立つものです。
 本ガイドラインは、シラバスの書式、記載方法、記載内容の統一性を保ち、学生にとって分かりやすく、主体的な学習に有用なシラバスの作成を目指すとともに、「学習を促進する情報」を提示し、学生の効果的な学習を手助けする手引書としても機能するものです。

3.シラバスの記載事項

下記の12項目を基本情報とします。

  1. 科目名
  2. 対象学年・配当時期
  3. 講師
  4. 単位数・時間数
  5. 授業概要
  6. 授業形態
  7. 学習目標
  8. 授業計画
  9. 使用テキスト
  10. 事前学修・事後学修
  11. 評価基準・評価方法
  12. 備考(受講にあたっての学生へのメッセージなど)

4.シラバスに明示する内容

【注意事項】

    • 記載する文字について、フォントはMS明朝体、大きさは10・5Ptとする。
    • 記載文字数によりセル幅を拡げることは制限しないが、A4版2枚を超えないようにする。
(1)科目名 教育課程に記載してある授業科目の名称を記載します。
(2)対象学年・時期 受講対象となる学年及び前期/後期を記載します。
(3)講師 「非常勤講師」・「専任教員」の別を記載します。
(4)単位数・時間数 授業の「単位数」・「総時間数」を記載します。
(5)授業概要
  • 教育課程における位置づけに照らして当該科目を学ぶことの意義が明確になるように、授業の内容(学生はどのような知識・技術を学ぶのか)をわかりやすく要約し記載してください。
  • 本校のディプロマ・ポリシーが掲げる能力や学習成果との関連を記載してください。
(6)授業形態
  • 当該科目で用いる授業の形態を記載してください。

<記載例>
「講義」・「グループワーク」・「デイスカッション」・「プレゼンテーション」・「フィールドワーク」など。また「おおむね講義形式で行うが,一部グループワークも行う」などの記載方法もあり。

(7)学習目標
  • 授業を通して学生に修得される観察・測定可能な学修の成果(知識・技能・態度)を箇条書きで表現してください。
  • 学生の主体的学習を支援する観点から「~について説明できる」「分析できる」「実施できる」など行動目標を中心として記載してください。
  • 学生が授業後「こんなことがわかるようになる」「こんなことができるようになる」といった、自身が獲得できる能力をイメージできるよう、学生がこの授業を終講した時点で学ばれること、できるようになることを明確に記載してください。

<記載例>
「看護の目的や機能を学び、看護活動の概要が理解できる。」「対象を観察しながら援助を行うことができる。」

(8)授業計画
  • 授業の各回で計画されている授業内容、学習項目(テーマ)について記載します。各回の違いがわかるように記載しますが、演習等で複数回にわたって同じ学習項目(テーマ)が続く場合は、その詳細を記載してください。
  • 学生の事前・事後学習の参考になるよう、授業進度に即した各回の具体的な授業内容、学習項目(テーマ)を記載してください。このとき、以下の3点の要素が満たされていることが必要です。
  1. 「学習目標」を反映した授業計画であること。
  2. 授業の進度や「流れ」が学生にわかりやすく記載されていること。
  3. 単位数に応じた授業時間・回数が確保されていること。
(9)使用テキスト・参考書
  • 授業で使用するテキストを記載します。(テキスト名、版、代表著者または編者、出版社は明記のこと)
  • 必要時、事前・事後学習で学生が主体的に学びを進めるために有用な資料(文献やウェブサイトなど)を記載してください。
(10)事前・事後学修
  • 「単位の成り立ち」の考え方に基づき、事前・事後学修の具体的な方法や内容を記載してください。目安となる時間数も記載することが望ましいです。すべての回をまとめて記載することは適切ではありません。
  • 各回の授業時間外の学修について区別がつく記載としてください。なお、「内容については授業計画に記載し、「授業計画参照」と記載しても構いません。
(11)評価基準・評価方法
  • 成績評価の公平さと透明性を確保し、学生が何を評価されたかわかるように「学習目標」に対応した評価方法となるように留意し、評価の方法と比重を明記してください。なお、比重は筆記試験80%・課題レポート20%というように「%」で表現してください。
  • 成績評価の方法が1つしかない場合は改めて100%と記載する必要はありません。「筆記試験で評価」のような記載方法になります。
  • 出席したことのみで一定の評価を与えることや、学生がそう誤解するような表現は避けるようにしてください。
(12)備考
  • 授業全般の留意事項や受講に必要なスキル等、上記項目で提示できなかった補足事項を必要に応じ記載してください。
  • 受講にあたっての学生へのメッセージなども記載することができます。

5.用語の定義

  1. 授業
    学校教育などにおいて、教科・科目などの教育として行われるもの。学習主体としての学生と教授主体としての教師が教育目標の到達を目指し目的的、計画的に展開される活動である。
  2. 講義
    普遍的な知識・技術・態度を学ぶ、いわゆる一斉授業。
  3. 演習
    既習内容を活用しながら、グループダイナミクスなどを利用して学習内容を理論的かつ概念的に深化・発展させる教授-学習過程。
  4. 学内実習
    学内の実習室等において、看護技術のトレーニングなどを行う実践内容にかかわる学習過程。
  5. 臨地実習
    臨地における看護実践能力育成のために、既習内容の適用、応用・発展および統合と、対象者との関係性構築のプロセスにおいて発生する新たな気づき・発見にかかわる学習過程。
  6. フィールドワーク
    学内外のフィールドに赴き、調査や観察を行い情報収集を行う学習方法。
  7. グループワーク
    学生を少人数のグループに分け、与えられた課題に協同で取り組み共通する学習目的の達成を目指すとともに、メンバーが相互に影響を及ぼし合うことを期待する学習形態。2人組によるペアワークも含む。
  8. ロールプレイ
    学生に特定の役割を演じさせることを通し、それぞれの立場の考え方や心情を体験的に学ぶ学習方法。
  9. ディベート
    テーマについて肯定・否定の立ち場に分かれ、第三者を説得する形で議論し勝敗を競う方法。
  10. ディスカッション
    2名以上で、特定のテーマについて自由にアイデアを出して意見を交換し合うこと。
  11. プレゼンテーション
    情報伝達手段の1つで、学生がパワーポイント等を用いて発表資料を作成し、他者に対して発表を行い理解を得るようにする方法。
  12. PBL
    Project Based Learningの略で、「問題解決型学習」「課題解決型学習」などと呼ばれる。学生自身が問題・課題を見つけ、さらにその問題・課題を自ら解決する能力を身に付ける学習方法。
  13. OSCE
    Objective Structured Clinical Examinationの略で、「客観的臨床能力試験」と呼ばれる。その場で与えられた看護場面の課題に対し、既習の知識や技術を用い患者に必要な援助を実施するもの。より実践場面に近い状況で判断力・技術力・態度などの習得度を総合的に評価できる。
  14. 事前・事後学修
    単位制での履修の場合、授業の時間数だけでなく、学生自身が学修する時間を含めているため、単位を成立させる条件としての予習や復習をいう。事前・事後学修を「自己学習時間」ということもある。

<参考>

授業1回(90分)ごとの自己学習時間-講義・演習の場合

※単位時間を45分として計算

授業1回(90分)ごとの自己学習時間の画像

≪単位の計算方法について≫

「1単位の授業科目を45時間の学修を必要とする内容をもって構成」し、授業の方法に応じてその時間が変動する。講義・演習については、15時間から30時間。実験、実習および実技は、30時間から45時間。