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『看護の統合と実践方法』(2単位・30時間)は、3年次後期に位置づく科目で、本校の3年間の教育課程における最終科目です。看護基礎教育においては2022年4月から第5次指定規則改正に基づくカリキュラム-新カリキュラム-が適用されていますので、3年生は改正前のカリキュラムが適用されている最後の学年ということになります。
今回ご紹介する統合演習は『看護の統合と実践方法』を構成する演習の1つで、「既習の知識・技術および倫理観に依拠する態度を統合しながら、対象の状態と業務の進行状況に応じた安全な看護を実践するための能力を高める」ことを目的としています。この演習では、看護師役の学生は2名の患者を受け持ち(1年生が患者役を務めます)、割り込み業務に伴って発生する多重課題に対応します。この対応を通して優先順位の決定・安全な業務遂行・他者への協力依頼の重要性の理解を促進します。また、多重課題遂行の演習を行うことで、看護を実践する際の自分の能力と思考の傾向に気づき、今後の自己の成長につながる課題を明らかにします。
本校の3年生は第12回生として2021年4月に入学しました。この2021年というのは、新型コロナウイルス感染症による医療崩壊という言葉もよく聞かれるほどの感染状況で幕を開けました。計画されていた臨地実習が短縮・中止になり学内実習に振り替えなくてはならない、という事態も経験した学年です。そういった「困難」もあったのですが、クラスメイト同士切磋琢磨しながら3年間学習を続けてきました。そして今日、教育課程の最終科目である「統合演習」に臨み、これまで学んだ知識や技術、思考を統合しながら2名の患者に対するシミュレーションを行いました。急な計画の変更や思いがけない患者の行動に戸惑いながらも、患者の訴えに丁寧に耳を傾け看護師としての役割をしっかり果たそうとする学生の姿に「最高学年」としての頼もしさを感じました。
シミュレーションのあとは教員や患者役の1年生も参加してのデブリーフィングを行い、新たな気づきや学習課題を確認しました。1年生からは「3年生のレベルの高さ、専門性を実感した。」「即座に優先すべきことを判断し、行動に移している先輩を見て‶かっこいい!〟と感じました。」「デブリーフィングで、行動や判断にしっかりとした根拠があることが分かり勉強になりました。」などの感想が寄せられました。
これから3年生は臨地実習最後の「統合実習」に向かいます。この「統合実習」は3年間の学びを文字通り‶統合〟し、看護の現場で働く自分をイメージする場であるのと同時に、自分の看護観や職業観を見つめ直し深化させる機会でもあります。今回の「統合演習」で得た気づきや課題をより価値ある学びにつなげてもらいたいと思います。
2023年11月20日
酒田市立酒田看護専門学校
副学校長 渡會睦美