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去る、2月29日(木曜)本校講堂にて、令和5年度第12回生卒業記念講演が開催されました。
この卒業記念講演は本校の特別活動のひとつで、「卒業にあたり、専門職業人としての知見を広げる」ことをねらいとしており、例年2年生も聴講します。
今回は、「地域医療構想における看護師の役割 ~これからの看護師に期待すること~」と題し、地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構 医療連携顧問の栗谷義樹先生からご講演をいただきました。
専門学校の看護基礎教育においては、「新カリキュラム」が令和4年4月から運用されていますので、今年度の卒業生は「旧カリキュラム」における最後の卒業生です。新カリキュラムではわが国の急速に進行する少子高齢化を背景に、多職種と協働する能力や家族・地域をみる能力を強化することが求められるようになりました。旧カリキュラムにおいても、看護の対象者を「生活者」として見る視点や地域包括ケアシステムにおける看護師の役割などは教授してきましたが、卒業にあたって、二病院の統合により日本海総合病院として医療改革を成し遂げた栗谷先生から、4月から看護の現場で働く学生たちにメッセージを頂戴したいと考え、今回、栗谷先生のご講演が実現しました。
栗谷先生からは、「過疎・少子化・高齢化が進む二次医療圏においては、このまま何もしないと医療・介護は崩壊する-これは近未来の姿である。」という危機感が語られ、医療・介護を持続可能なものにしていくための方策の一つとして『日本海ヘルスケアネット』が機能していること、近い将来、医療・介護の現場でもAIやDXがあたりまえのこととなるだろうが、その中心で活躍するのがここにいる学生の皆さんである-との力強いメッセージをいただきました。
質疑応答のコーナーでは、「エリートとして選ばれる看護師になるにはどうしたらいいか。」といった質問も飛び出し、会場が笑いに包まれました。栗谷先生は「難しい質問ですね。」と仰いながらも、「他人と比較しないこと」「あまり深刻にストレスと向き合わないこと」などアドバイスを下さいました。また、いろんなことに興味をもって、広く・浅くたくさんのことを知ること、そういう経験の蓄積が多角的に物事を捉えることになり、多角的に捉えるということは今まで見えていた景色と全く違う景色を見せてくれる-と栗谷先生の‶人生観〟に拠るお言葉もいただけました。まさに、4月から看護の専門職業人として歩むことになる卒業生の「知見を広げる」講演会となりました。
2024年3月1日
酒田市立酒田看護専門学校
副学校長 渡會睦美