『看護学概論』の授業風景をご紹介します
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本校では基礎看護学を構成する科目の1つである『看護学概論』を1年生前期課程に配置しています。入学したばかりの学生にとって看護学を学ぶ基礎となる科目です。この『看護学概論』は‶Introduction to Nursing”とも表現され、看護学の導入部として位置しています。この科目では看護・人間・健康・環境の概念、看護の変遷、看護の役割や機能について学びます。
近代看護の祖とされるF・ナイチンゲールは、著書『看護覚え書※』の中で「看護師は、靴でもなく、鑿(のみ)や大理石でもなく、人間を対象に仕事をしなければならない。」と述べています。また、看護形態機能学の第一人者である菱沼典子先生は、「体の知識は看護の土台」と言っておられます。そこで、本科目では看護の対象である人間についての理解を深めるため、『日常生活を成り立たせている身体の動きや仕組みを知ろう』をテーマとして、「食べること」と「出す(排泄する)こと」の2つの生活行動を通して、身体の動きと仕組みについてグループワークを行っています。そして、その成果は「ミニ講義」としてプレゼンテーションを行い、学びを共有し合いました。解剖生理学が並行して講義が進行している時期ではありますが、現時点で教授されている範囲を超えて調べ学習を進めていく必要があり、グループメンバー間で協力し合い自分たちで問いを立てて、さまざまな文献を読み、有用な情報にアクセスすることで「ミニ講義」にふさわしい成果物ができあがりました。
今回のグループワークとプレゼンテーションを振り返ると、例年にも増して講義資料の作成とプレゼンテーションがとても上手だったことを評価したいと思います。それぞれのグループが工夫を凝らしたいへん「分かりやすい」ミニ講義になりました。今回の課題に学生一人ひとりが真剣に取り組み、メンバーと協力し合った結果であろうと思います。自分に課せられた課題に真剣に取り組む真面目さや誠実さは看護実践の土台である『倫理』の一(いち)側面でもあります。入学してまだ3か月ではありますが、「学習者」としての自覚を持ち日々着実に成長している様子がうかがえ、たいへん心強く感じました。
「日常生活を成り立たせている身体の動きや仕組みを知る」ことは、看護師の専門性・独自性の一側面である「人々の日常生活・暮らしの営みを支えること」の理解に繋がります。今回の経験と学びを後期課程で開講の「病気を診る演習」や「健康回復を支援する演習Ⅰ」に繋げ、看護の専門職業人となるための基盤を強固なものにしていきましょう。
※フローレンス・ナイチンゲール「看護覚え書-看護であること看護でないこと-」(改訳第7版)
訳-湯槙ます、薄井坦子、小玉香津子、田村眞、小南吉彦 現代社
令和6年7月1日
酒田市立酒田看護専門学校
副学校長(看護学概論授業担当)
渡會 睦美